さて、投稿者の思惑以上に盛り上がって頂きましてありがとうございます。
どんな投稿者も同じと思いますが、コメントが多いと非常に力になります。沢山のコメントよろしくお願いいたします…と媚びを売っといて、気になるRのその後です。
この物語はフィクションでもありノンフィクションでもあり、登場する人物、団体等の名称は全て架空のものでもあり、真実のものでもあります。それはただ、皆さんの心の中次第です。何故なら、この物語は皆さんのものですから…
Rの場合 ②
彼にはやり残したと言うか心残りと言うか、未だに心に引っかかるモヤモヤの様なものがある。彼は高校時代ラグビー部に属していた。ポジションはフルバック。フルバックはラインの一番後ろで、守りの最後の砦でありながら、攻撃にも積極参加の重要ポジションだ。
彼には忘れられない屈辱がある。東京のラグビー部はRが高1の時に創部された若いクラブだ。猛練習をして形を整えたが、いかんせん経験不足は補えない。
初参加したその年の中央体育大会で歴史、経験、実力文句なしの九州朝高にコテンパンに負けた。その時九州の選手が言った言葉が心に焼き付いた。
「東京はラグビー知らないっちゃ!」
屈辱だった。
それからと言うもの、Rを始め東京のラグビー部はそれこそ死に物狂いで練習した。そうして迎えた高3の中央体育大会。宿敵九州朝高との一戦。一進一退を繰り広げる好ゲーム。
東京には秘策があった。
当時としては珍しいバックスでのサインプレー。スクラムから出たボールをスタンドオフ(背番号10)が受け取りセンター(背番号12)へパス、そして本来なら13番へパスする所へ後ろから全力で走って来たフルバックが12と13の間に割って入りボールを受け取り相手のラインを突破すると言うもの。
その名も『からし焼き!』
ゲームも押し迫り、アディショナルタイムに入っての味方ボールのスクラムだ。(ここだ!)チームが全員そう思った瞬間、ボールが出た。スクラムハーフからボールを貰ったスタンドオフが叫ぶ!
「からし焼き!」
しかし相手のタックルが早い!Rはスタートしようとして一瞬ためらった。しかしそのタックルを素早くかわしたスタンドオフからセンターへボールが出た。
(しまった!遅れた!)
一歩出遅れたがそんな事言ってられない!行けー!スタンドオフが投げたボールが12番のCに渡る。
Cとは何十回とこの練習を重ねて来た。最後は素早くではない、ヒョイと浮かせた方が取りやすいと、ボールを浮かして胸で取る練習も遅くまで続けた。100%の確率で成功する様になった時2人で腕を絡めて叫んだ。
「やったぞー、見てろ九州!」
…
(間に合うか!)Cがヒョイとボールを投げた。タイミングがずれたが強引にラインに割って入って胸ではなく、手を伸ばしボールを取ろうとした瞬間!
「パシッ!」
相手の手がボールを横取りRの横をすり抜けて行った。インターセプト‼️
ボールを持った相手は無人の自陣を走り抜けゴールポストの下に飛び込んだ。
…トライ…
そして、ノーサイドの笛が無情に響き渡る…
呆然と見送るRと東京フィフティーン。12番のCが泣き崩れた。「ゴメン、俺のせいだ!」皆はCの体を起こしながら「お前のせいじゃないよ。気にするな。一生懸命やったから悔いはない!さぁ胸を張って堂々と行こう!」と歩き始めた。
RはCに声をかけようとしたが、かけられなかった。(俺のせいだ、俺のせいだ…)涙が溢れた。それ以降Cには何となく引け目を感じ、まともに話もしなくなった。
(Cは来るのかな?来たら今度こそちゃんと謝らなくちゃ…◯スンは結婚してフランスに居ると聞いたけど、笑顔で喋れたらいいな…)
Rの心はすでに上野へと向いていた。
まだまだつづかせて…?
次はエピソードSの場合
気になるY子さんと再会出来るのか? それとK子とMリの話はどうなるのか? K子は参加するのか?
…話を広げすぎて後悔してる今日この頃ですが頑張ります。