さて、好評?を頂いております「同窓会あるあるシリーズ」も早くも6話目に入ります。作者も頭の中がこんがらがっておりますが、頑張って行きますね❤
この物語はフィクションでもあり、ノンフィクションでもあり、登場する人物、団体等の名称は全て架空のものでもあり、真実のものでもあります。何故なら、この物語の主人公は間違いなく、皆さんなのですから…
Sの場合 ②
高校入学前の春休みに、新たな東京朝高の核心?になって欲しい人財を集めた長野朝中での合宿。その最終日のレクリエーションの舞台の上に立つ女子の中で、ひときわ目立つ女子が目についた。
「あれ?」ドクン…ドクン…ドクン…生まれて初めての感覚、胸が高鳴るのを感じた。
初めて見る顔なのに、昔から知ってる顔見知りの様な…一目惚れだった。
「なぁ、あの娘どこの娘?」その娘がY子だった。
当時の東京朝高は男女別の教室、階まで別なので、男女が知り合える機会は本当に限られていた。それでも、運命と言うのか…Sは中学から、バレーボール部に所属していたので、先輩の勧誘もあり自然とバレーボール部に入部した。
そんなある日、練習開始の前にキャプテンが2人の女子を連れて来た。
「今日から新しいマネジャーが入ります。 〇〇さんとY子さんです。」
「‼️」
Sはビックリした、と言うか信じられなかった。(そんな事ってあるのか?)
でもその日から、何よりクラブの時間が楽しみになったのは言うまでもない。
Sのポジションはサウスポーと言うこともあってライトアタッカーだった。元来少ないサウスポーでありながら、身長も180㎝近く、その高さからのスパイクは破壊力抜群であった。
「S〜、お腹空いたから帰りに『みやした』連れてってよ〜」
「いいよ!連れてってあげるから金は払えよ」
「何でよ〜ケチ!それくらい奢ってよ!」
「ははは…」
その頃になるとSもY子とは冗談も言える仲になっていた。
Sは1年からサブレギュラーで度々試合にも出場した。彼がスパイクを決めるたびに、Y子は大きな声でSの名を呼び、手を叩いて喜んだ。その声に力が湧き、その笑顔に勇気を貰った。
日に日にSの中ではY子の存在が大きくなって行った。同じバレー部の同級生でエース候補のDは小学生からの友人で何でも相談できる親友であった。
「そんなに好きなら告白すれば良いじゃん」
「いや…」
男は硬派!当時の朝高男子のポリシーだが本音は思春期の男子。異性と付き合いたいのは当たり前。だが告白する度胸が無い事を「硬派」と言う言葉で誤魔化しているだけなのにそれは認めたくない…強がるしか無いというのがSの正直な気持ちだった。
だから悶々とする気持ちを持て余しながらもSは日々を過ごさなければならなかった。
…
そんなある日、4階と5階のあいだの階段で、同じクラスのサッカー部のAと楽しげに話すY子の姿を見た。(何だ?妙に親しげだな…)と思ったが深くは考えずそのまま通り過ぎた。その後もY子とは冗談を交えながらも変わりばえしない日々が過ぎて行った。Sの気持ちに大きな波が立ったのは、その数ヶ月後だった。
同じクラスのAの椅子に、真新しい座布団が敷かれてあった。(あれ?座布団なんてあったっけ?)その瞬間、数ヶ月前の階段での光景が浮かび上がった。
(もしかして…)
「おいA、その座布団どうしたんだよ。Y子か?」1人が茶化しながら言った。(えっ!やっぱりか…)Sは告白しなかった事を、死ぬほど後悔した。
「何でもないよ!」と笑いながら答えるAの顔は、Sからすると眩しい位に輝いて見えた…
それでもY子との関係は、冗談を言いふざけ合う事に変化はなかった。そうする事で自分自身を納得させなければ、とてもじゃないが耐えられなかった。
その後Y子はマネージャーを辞めた。
バレー部という接点が無くなりY子と会う事も、喋る事も、ましてや冗談を言う事もなくなった。たまに見かける事はあったが声をかける事はなかった。
こうしてSの初恋は終わった。
…
「その後朝銀の先輩と結婚したって聞いたけど、幸せに暮らしてるのかな?」
パソコンの同窓会ブログを見ながら
「同窓会あるある…今だから昔好きだった人に告白したい…か!ははは。」
夜空に星が流れた…
さて、次回「同窓会あるある」は…ただ今構想中…笑
近日公開?…予定です。