さぁ、過去6回(‼️)にかけてお送りしてまいりました短編集ですが、いよいよ いよいよ佳境に入ってまいりました。 それでは決まり文句からスタートしましょう。(^^)
この物語はフィクションでもあり、ノンフィクションでもあり、登場する人物、団体等は全て架空のものでもあり、実在するものでもあります。それはあなたの気持ち次第です。何故ならこの物語の主人公は間違いなく「あなた」なのですから。
K子の場合
電話を切ったK子は、短いため息をついた。ナンピョンが「何の電話?」と聞いて来た。
「なんか、還暦の同窓会を東京でするらしいのよ。それの勧誘。でも行かない。お店もあるし、何より遠いもん。電車賃も高いしね…」 その言葉を聞いていたナンピョンはジーッとK子の顔を見て「本当にいいのか?行かなくて?」と言った。K子は全てを見透かれてる感じがした。(あ〜、弱いな〜この眼差し…)
結婚した当初、一人地方に嫁いで来たK子の味方と言えば、ナンピョンだけだった。別居のシアボジ、シオモニはサッパリした性格で、婚期が遅れた息子の元に来てくれたミョヌリをありがたく思い、気を使ってくれるのだが、それがかえってよそよそしく思えて、中々溶け込めなかった。
また、まだ若かったナンピョンはお店が終わると、仲間たちと夜の街に繰り出して行った。帰って来るのはいつも明け方。子供が出来た後も、子育てはK子一人、時々はお風呂に入れてくれたりはしたが、家事の一切はK子が一人でやった。
次第にストレスが溜まって来る。
(あ〜、もうダメだ。東京に帰りたい…)
そんな時に限ってナンピョンは、知ってか知らずか優しくなる。プレゼントを買ってきたり、休みに子供を連れてドライブに出たり…その度に騙されて?また生活を続けて行く。
だが、ある日を境にナンピョンの態度が変わった。原因は解らないが、日記を机の上に置きっぱなしにした事があった。
(日記を見られた?)
日記には結婚してから今日までの日々の感想が綴られている。希望を胸に異郷に来たけど、ナンピョンの冷たい態度に戸惑う自分、淋しさ、孤独、信じて頑張ろう、でもこの頃は信じていいのかという疑心、それでも優しくされた時の喜び…
顔から火が出そうだった。もし見られたのなら恥ずかしくて顔も上げられない…怒って東京に帰れと言われたらどうしよう…そんな時ナンピョンがK子の居る子供の部屋に入って来た。「ちょっといいか?」K子はびっくりしながらナンピョンの顔を見た。
しばし沈黙が流れた。重苦しい空気の中ナンピョンが口を開いた。
「今までいろんな事があったけど…俺は良い旦那じゃなかった、謝るよ。ごめん…これからは一緒に良い家庭を築いて行こう。」そしてあの瞳でジッーとK子を見た。K子は涙を滲ませながら静かに頷いた。
「本当は行きたいんじゃないか?」心の中まで見透かすような瞳でK子を見た。「やだ〜。そんな事ないよ。お店もあるし、アッパのご飯とかどうするのよ?いいの、行かないって決めたから」ナンピョンは黙ってテレビに視線を移した。
Mリの場合
Mリは忙しい日々を送っていた。昼はお弁当を作ってナンピョンが居る景品交換所を訪ねて、食事時間は交代で交換所に入った。その後は夕方から始まる英語教室の準備をして勧誘の電話。
彼女は第◯出身で、受け持ったのは同じ中学校出身の女子28人。昔は同じトンネで泥んこになりながら遊んだ友達も、今は結婚してこのトンネからほとんどが出て行った。1年前に同窓会をやって連絡先は把握出来ている。
同窓会に参加したメンバーは、ほぼ参加が確認出来た。だが残りが問題だった。地方に嫁いで行った子はなかなか難しい。中には自分がチョソンサランと言う事を隠してる子もいる訳で、そういう時は聞きたく無い言葉を聞くこともある。
「…もう連絡しないで!ガチャ!」
さすがのMリも、その時ばかりは悲しい気持ちになる。そんな時はナンピョンが心配して声をかける。「向こうにも向こうの生活や事情があるんだから、あまりしつこく言ったらダメだよ。かえってお前が傷付くんだから…」
「彼女達の生活を壊すつもりなんて毛頭ないの。私はただ、学生時代の楽しい時間を、一緒に青春時代を過ごしたあのかけがえのない時間を、もう一度一緒に過ごしたいだけなの。それだけなのに…」
涙が溢れそうになる。「でもね、今度の同窓会に参加しなかったら多分もう一生会えないと思うの。私確信してるんだよね。終わった後は絶対『あ〜やっぱり来てよかった〜』って思うって。だから1人でも多くの友達を呼びたいの!」そう言って微笑んだ。それから思い出したように
「あ、そうだ!K子…」
つづく(まだ続くの?)
1話で入り切らなかった…?
さて、次はいよいよ最終話。
物語の締めを飾るに相応しい内容になるんでしょうか?
乞う御期待!(あまり期待しないで…笑)